Amazonの「本」でランキング入り

Gene Mapper (ジーン・マッパー)」をAmazon.co.jpのKindleストアで売り始めて一週間、驚くようなことが起こった。

Gene Mapperは「文学・評論」ジャンルで一位となり、書影が掲載された。このジャンルはKindle本のページではない。紙の書籍を含む「」のトップページだ。

電子ベースの書籍が紙の書籍のベストセラーを超える日が来年中には来るだろうとは思っていたが、まさか、Kindleストアの公開からたった一週間でそんなことが起こるとは思っていなかったし、私の小説……それも処女作がその栄誉をいただくことになるとは、これっぽっちも予想していなかった。

このベストセラー・ランキングは直近の24時間を一時間おきに更新する、目新しい商品に優しいシステムだとはいえ──自分で言うのもなんだが──誰のお墨付きも貰わずに自己出版されたKindle本が「文学・評論」という大きなジャンルでトップを取りにいく過程で、7月末の発売から今まで支えてくれた読者の皆さんの応援の熱さ、時代の変化を感じざるを得なかった。

Kindleのマーケット

この9日間で数多くの方々から支持を頂いたことで、Gene Mapperの出版部数=実売部数は2,200に達した。その1/3ほどが、Kindleストアでの販売だ。やはりKindleがデジタル・セルフ・パブリッシングの本格的な幕を開けたと言っていいだろう。

これからiBook Storeも開くことだろうが、アメリカ同様に、Kindleが過半数を超えるマーケットになっていくことだろう。

ただ、価格を下げていないKoboでも販売が完全に止まっているわけではない。月末には「SF・ファンタジー」ジャンルで4位に浮上した。キャンペーンを行っていない間の公式サイトの売上はほとんどないのだから、やはりプラットフォームの力というものは侮れない。

紙の書籍は電子書籍と併売すべきだ

この一週間、特に今週に入って「文学・評論」のベストセラーにランクインしてから、Kindle本と紙の本を両方出しているような書籍や紙の書籍しかないような書籍に混じって、電子書籍しかないGene Mapperが順位を上げていくのを見ていると、順位を伸ばしている紙の書籍しかない本が、時折ランキングを大きく落としていくことに気がついた。

原因は、在庫切れだろう。ランキングの上位(「文学・評論」で10位程度)あたりでは一日の販売数が30-50冊ほどになる。評価の定まっていない新刊の書籍には、この壁がなかなか破れないだろう。「Gene Mapper」とずっと肩を並べている「のぼうの城」はKindle本との併売だ。

物理的な書籍を多数在庫することをAmazonに求めても仕方がない。少量多品種といえば聞こえはいいが、年に8万冊も新製品が出て、その多くはAmazonに限れば、生涯で百点も売れない。そんな膨大な、値段を下げて在庫処分もできないようなアイテムを扱うAmazonは、絶対零度のシステムで最善の効率を追求するしかないだろう。

そんなマーケットで新刊を売り続けるためには、在庫のなくならない電子書籍が必要だ。

誰にも体験できなかったこと

巨大なマーケットが開くときに──トリックスターではあるが──たいへんな栄誉を与えていただいた。電子書籍のセルフ・パブリッシングが、やり方次第では出版社が出す書籍と肩を並べることも可能であることも証明できた……と思う。これで生活ができる、という段階には全然到達できていないのだが、まだ日本でのデジタル・セルフ・パブリッシングは始まったばかりだ。

「Gene Mapper」のささやかな挑戦が、これからKindleやiBooks、Koboなどで出版を試みる方々の励みになれば幸いだ。

追記

一つだけアドバイスをさせていただきたい。

デジタル・セルフ・パブリッシングは一人でもできる。だが、「一人」に拘らないでほしい。一人でGene Mapperプロジェクトと同じことができなければならないと思わないでほしい。

作品未満の物語に惚れ込んでくれて、本気でアドバイスしてくれるパートナーを確保することの方が、何倍も価値があることだ。私にも、親身になって作品になっていない段階の原稿を読んでくれた友人が居た。彼が居なければGene Mapperがこのような作品になることはなかっただろう。

Gene Mapper第三版を公開しました

「Gene Mapper」のファイルを第三版へ更新しました。EPUB系4種、Kindle用.mobi 2種、青空文庫とPDFの合計8種類です。

第三版では初版から存在していたマークアップのミスとほんの少しの文字修正を行っています。

PDFについては、Chromeからの画像書き出しで作成したファイルをやめ、青空文庫形式からPDFを作成できる青Pを用いています。青Pにはコマンドラインでの実行モードもあるので、Scrivenerから書き出したEPUB 2をビルドコマンドひとつで配布している8形式に書き出すことができるようになりました。

容量も1MB程度とダウンロードしやすくなったので、Kindleなどでお楽しみやすくなっています。

今後も必要があれば版の更新を行っていく予定ではありますが、この第三版でかなり多くの読書環境をサポートできているのではないかと思います。一度お読みになった方も、読み返す際には別のフォーマット、別の読書環境で読み返すと新たな発見があるかもしれません。特にEPUBの横書きをまだお試しになっていない方には、強くお勧めしたいところです。