iBooksのEPUBでfont-familyを有効にする

結構知られているTipsだけど、紹介したい。iBooksではEPUBでCSSにfont-familyを指定しただけではフォントが有効にならないので、iBooks専用の指定が必要になる。これは埋め込みフォント固定レイアウトの中で紹介されている方法なので、文章が主体となるEPUBを前提としていると見つかりにくいかもしれない。

指定の方法は極めて簡単。META-INFの中に com.apple.ibooks.display-options.xml という名前のファイルを作り、以下のコードを書くだけだ。 specified-fonts はiBooksのパラメーターなので名前を変更してはならない。

<?xml version="1.0" encoding="utf-8"?>
    <display_options>
    <platform name="*">
    <option name="specified-fonts">true</option>
    </platform>
</display_options>

なんたってiPadには70種類以上の書体が入っているのだ。使わなければもったいないでしょう。

縦書き EPUB に必須のプロパテイ

Gene Mapper」(まだ拙著と書けない。早く出したい)は縦書き、横書きそれぞれの EPUB ファイルを作成するための最終稿をマークアップする行程に入っている。マークアップには青空文庫の組版案内で紹介されている青空記法のテキスト版を用いている。単純な検索置換で xhtml へのマークアップが行えるフォーマットだが、レンダリングしなくても可読性が高いのがなんといっても嬉しい。また、青空記法は私の主要な執筆環境であるiPhone、iPadでルビや圏点をレンダリングしてくれるビュワーやエディタが揃っている。bREADER 最強。iPhoneで小説書くなら絶対持っと──このあたりは執筆環境についてまとめることにする。

今日の話題はEPUBの縦書きレイアウト、そして日本語の中に登場するアルファベットや数字、日本語由来でない文字の向きについてだ。

農作物の多くがメーカー製の「蒸留じょうりゅう作物さくもつ」に置き換えられつつある二〇三七年。作物の遺伝子をマークアップし、外観を設計するスタイルシート・デザイナー、林田のもとへ「ジャパニーズ・サラリーマン」を演じる黒川から調査依頼が入った。

カンボジアへ納品したスーパーライス、SR06に描いたロゴが崩れ始めたというのだ。原因はコーディングのミス? アップデートの失敗? それとも……原因を探るため、林田は「キタムラ」と名乗る人物に誘われ、二〇一四年に封鎖されたインターネットが生きている街、ホーチミンへ飛ぶ。

フルスクラッチで作物を作れるほどの遺伝子工学、現実と見分けられないほどの拡張現実が当然のものとなった近未来。

たゆまなく前進する科学技術は人類の繁栄を約束するのか? ハイスピード・ノベル「GENE MAPPERジーン・マッパー」が問う。

ぶら下げができてないとかモノルビになってないとかいろいろあるけれど、なんといっても見苦しいのは最後の行にある「Gene Mapper」が、OS XのSafariとChrome、そしてWebKitを用いているEPUBビュワーだとセンターに揃っていないことだ。この部分には (-webkit-)text-orientation: upright というCSSプロパティが指定され、ASCII範囲の文字列を Unicode Halfwidth and Fullwidth Forms で置き換えてしまう。置き換え自体は望ましい動作なのだが、文字が縦書きの行の左端に寄ってしまっているのは見苦しい。早く直ってほしい問題の一つだ。

だが、このように目立つ場所ではこのようなマークアップを行うことはないだろう。縦書き用と横書き用では異なる、または両方の表現を含む xhtml が必要になることに変わりはない。一つのファイルに埋め込むならば

<span class="hv-switch"><span class="hv-h">2011</span><span class="hv-v">二〇一一</span></span>

のような形だろうか。Gene Mapperのマークアップでは〔2011/二〇一一〕のようにテキストに埋め込むことにした。システマチックではないが、125を百二十五とするか一二五とするかなんて機械的に判断できるわけもないし、自由度は向上するのでテクニカルライティングでないエンターテイメントならば、このほうがいい。

横書きで読むならばDNAよりもDNA、二〇三七年よりも2037年、二一世紀よりも21世紀が気持ちいいものね。